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ましろ第36話

遺体安置所に行った次の日から勉強し始めた。英語と国語は週間課題で使用する問題集を使った。数学は看護学校受験レベルの問題集を津波でなくしてしまったので何もできなかった。生物は授業で使う問題集を何度も解いた。もちろん、避難所の子どもたちの相手や炊き出しの手伝いの合間にした。

 そんな日々が続き、とうとう始業式前日を来た。


 夕食の後片付けを終え、勉強しようとした矢先、母が話しかけてきた。

「絵里奈、真樹と満里奈のいないところで話そうか。」

私は、来るべき時が来た、と感じた。母はそれを知ってか知らずか、私を体育館の隅に誘った。
向き合って座ると、母は話し始めた。


「絵里奈ももう3年生だね。そろそろ進路のことを考えなくちゃいけないね。何か考えてる?」
改めて心にグサリと刺さった。父がなくなり、働き手は母だけとなった。だから、進学は難しく、就職を勧めるに違いなかった。でも、今の意志をちゃんと言わなければ、この場から離れられない。
「今の経済事情からすれば難しいかもしれないけど、市民病院附属看護学校に行きたい。震災後、お母さんが尾形先生の診療の手伝いをしているところを見て、看護師になって人の役に立ちたいって思ったの。」
静かに聞いていた母は一転して、眉をひそめた。


「看護師は人の役に立てるけど、大変なのよ。患者さんはいつ急変するか分からないから休みなんてない。しかも命に関わる仕事だから、あまり患者さんに感情移入しちゃいけない。絵里奈にできる?」
母はそれに続ける。

「もし看護師になるなら看護大学に行ってほしいんだけど、市民病院の看護学校の学費を納めるにしてもムリなのよ。看護学校じゃ今の看護には物足りない部分もあるの。分かる?」

母は言葉の矢を次々に放ってくる。何も返事はできなかった。

 「もう寝る時間だから止めるけど、もうちょっと検討してもいいんじゃない?」
5分くらい経ってから母はそう言って締めた。私はほの暗い闇の中に消えて行く母を見送った。


サイドトーク:最近アップの頻度が落ちました。なるべく1週間を目標にアップしたいです。


ああ、暑いですね。気仙沼より暑くなるのかなぁ?体の火照りが取れません。

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