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2012年5月

ましろ第35話

「ここだよ。」

母は静かに合図した。私たち兄弟は静かに母に近寄った。絶え間なく、耳には、
「どうしてこんな姿に……。」


「あなたぁ!」

「ママぁ!」

など、亡くなった人を想う人の声が入って来た(小さい声だが。)。

 「パパとの最後のお別れだよ。」


母が言うと、毛布を外した。目に入って来たのは、父の変わり果てた姿だった。体全体がパンパンに膨れ上がって別人のようだし、表情は、痛さ、つらさ、苦しさ、無念さ、……と言った、悲しい表情を全て足し合わせたような表情だった。


「ママぁ!」

妹が母に抱きついて泣き出した。私も、弟も、目が潤んできた。 抑えられなかった。もう泣くしかなかったのだ。

 小さな頃の記憶が蘇ってきた。


「絵里奈は大きくなったら何になるの?」


私は、あぐらを組んだ父の脚の上に座って、聞いた。

「えりなは、かんごふさんになるんだ。」


素直に、言った。母のナース服やナースキャップがかっこよかったから、と。言う不純な理由はなしで
「えらいなぁ。看護婦さんは世のなかや人の役に立つから、頑張って勉強しなさい。」
「パパのおしごとはどうなの?」


何も知らず、素直に尋ねた。


「パパのお仕事は、人の役に立つけど、看護婦さんほど満足した感じがないんだよなぁ。」
父は、ちょっと渋いお茶を飲んだような答え方をした。

 ――パパ、今なら判るよ!


もどかしさも加わって、私はむせび泣いた。

サイドトーク:今日は、県立大学・短大の合同体育祭でした。運動は苦手ですが、軽いノリで参加しました。

一番嬉しかったのは、高校時代のクラスメイトと再会したことです。私の在宅浪人や総合政策学部への入学、だだだ先生の転任にびっくりしていました。


いやあ、再会はいつできるか分からないから、おもしろいんですねー。

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